まにまに音楽生活

よくある音楽、本、生活などについてのブログです。

1999年の想い出②

日本ではそれほど盛んではないようにみえますが、ここ10年くらいでしょうか、主にインディーロックの90年代の名盤を中心として「再現ライヴ」というものが流行しています。 要するにアルバムの曲順どおりライヴで再現するというものです。リリース○○周年記念という節目に行われることが多いみたいですね。

 

例を挙げると、11年に、国内ではサマーソニックで披露されたPrimal Scream『Screamadelica』(91年)の再現。同じく11年に行われたWeezerの『ブルーアルバム(S.T.)』(1994年)、『Pinkerton』(1997年)の再現。13年に自らがキュレーターを務めるALL TOMMORROW'S PARTYで行われたDeerhunterの各アルバム再現。などなど。

 

そして現在、 Grapevineが5月19日のSHIBUYA-AXを皮切りにセカンドアルバム『Lifetime』の再現ライブツアーを行っています。

 

Lifetime

Lifetime

 

  

Grapevineの登場は衝撃でした。

 

1997年デビューの彼らを僕がはじめて認識したのは、テレビ番組で演奏された「白日」によってでしたが、イントロのギターが鳴った瞬間に感じたのです。

 「あ、刷新された。」と。

 


同時期に登場したTRICERATOPSスーパーカーと同じように、無理なく”洋楽”と同じ音楽が鳴らせている。、当時はそこまで考えていたわけではないですが、少なくとも瞬間的に感じたのでした(それはつまり彼らが正しく”渋谷系”以降であるということでもあります)。

 

同時に、バインが同時代の彼らと違ったのは、その"青臭くなさ"によってでした。(「白日」ってなんかかっこいいね、というように、言葉遣いや文学そのものからの影響を指摘することでわりと容易に「文学的」と言えてしまうようなところは、ある意味十分青臭くもあるのですが、)Vo田中氏の歌詞の「巧さ」は群を抜いてましたし、基本的にバインの歌詞に出てくる男女は、1stミニアルバム「覚醒」(97年)の時点から、ほとんどが”倦怠期”にあり、ボーイミーツガールや、恋に落ちる落ちないといったことをすでにとっくに問題にしていません。むしろとりわけ初期バインにおいて顕著なのは、言葉をあまり選ばずいうと、”抑圧的で変態的で情念的なエロス”です。童貞云々は全く無関係なバンドなのです。スーパーカーが気付けばけん引していた時代の空気のようなものを、少なくとも歌詞においてはバインはほとんど一切纏わなかったように思います。

 

サウンドにおいても同様で、とりわけ初期においてはR&BやSOUL、BLUES、60~70sのロックに傾いており(金延幸子大滝詠一(”青い魚”)や矢野顕子("ひとつだけ")など日本のフォーク~ロック、ポップスに目配せされていたということこそ今となっては重要という気もしますが…)、ポップながらも、どちらかというと「渋い」ものでした。

 

1999年5月にリリースされたセカンドアルバム『Lifetime』は、音楽的にはその「渋い」音楽性から90sロックあるいはポップスの方向に舵が切られた瞬間の、その爆発だったように思います。1曲目の「いけすかない」からゆるやかに高められた高揚感は、最後まで落ちることはありません。 バンドとしての勢い(結果『Lifetime』はオリコン3位を記録しています。)のみならず、やはり1999年の空気がこの高揚感を生んだ、というと眉唾でしょうか。

 

同世代で活躍していた数々のバンドが活動を終了していく中、最初からマイペースで飄々としていたバインは、今なお、充実した作品を作り続けており、淡々と国内最強のバンドに近づきつつあるようです。

 

変態性と情念の露出 、田中氏のそれを愛する僕は1stアルバムや『Another Sky』を推すことが多いのですが、トータルで最高のアルバムは『Lifetime』だろうと思います。

 

というわけで、8日。福井の再現ライブに行ってきます。